今季のTBS金10ドラマは、英国在住日本人作家、
カズオ・イシグロ原作の「わたしを離さないで」。
以前、映画化もされている。
この作品をどうテレビドラマ化するんやろうと思っていたけれど、さすがはドキュメンタリーとドラマのTBS.
重厚な、見た後にず~~んと重いものが残る仕上がりになっている。
もちろん、ヒトそれぞれに感想は異なるから、あんな暗いドラマはイヤ、という感想もあるやろう。
とある学園。
生徒は全員寮に住まわされており、外部に出かけることが許されない。
外の森には殺人鬼がいて、つかまったらばらばらにされ、臓器をとられてしまう・・・。
そんな恐ろしい話が生徒には伝えられている。
成長するにつれ、学園で暮らす彼らにも事実が告げられる。
彼らは、臓器提供のため、この世に生み出されたクローンだと言うことが。
それを学園長は、「あなたたちは崇高な使命を持って生まれた天使なのです」と、美化して伝える。
18歳になると彼らは学園の外のコテージと呼ばれる施設で暮らすようになる。
そのコテージには、同じような学園から集められた、自分たちと同じ境遇の誰かのクローンが暮らす。
そこでの3年間は、短いであろう、彼らクローンの最初で最後の自由な生活。
いずれ、臓器提供をする他のクローンの介助人となり、介助を続けるうちに、
いつか自分が本体の提供に回るときがやってくる、ということを知る・・・。
それとともに、自分たちの存在が報道もされず、世間からは隠されたものであることも。
来週以降、なぜ主人公たちが暮らしていた学園では、介助人になることが伝えられなかったのか?
また、「あたたたちは天使なのです」と美化していた学園長が、なぜその学園を作ったのか?
マダムさんと呼ばれていた女性は、いったい何者なのか?
そういったナゾが、少しずつ明らかになっていくんやろう・・・。
臓器提供用に、あるいは長生きするために、クローンを作る、というのは他にもいつくも話がある。
漫画で言えば・・・。
萩尾望都の「銀の三角」。
清水玲子の「輝夜姫」。
ヒトは、秦の始皇帝のように、不老不死を願ってやまないのだろうか・・・。
「私を離さないで」は、何だか救いのない話に思えるけれど、
カズオ・イシグロがこの作品のテーマにしたのは、クローン人間のおかれた境遇の残酷さではなく、
長くは生きられないと知った若者たちが、それでも運命を受け入れ、
日々を精一杯生きていこう、とする姿なのではないだろうか。
あえて、原作を読まずにドラマを見ているから、的外れな感想かもしれない。
でも、そろそろ原作読んでみようかな・・・。