「沈黙の町で」と大津のいじめ事件 ~いつもと違うのだめもどき~

              

来週、7月12日にいよいよ最終回を迎える、朝日新聞朝刊の連載小説「沈黙の町で」。
奥田英朗氏による群像劇で、1年以上連載が続いていた。

とある地方都市で、中学校2年生の男子が学校で変死する。
検死の際、彼の背中にいくつもあざがあるのが発見され、いじめがあった・・・と推定される。
同級生4人が彼に対する傷害の容疑で逮捕・補導される。
同じ中2でも14歳になっているかいないか、で扱いが変わる彼ら。

亡くなった少年の親、逮捕・補導された4人の少年の親、少年たちの同級生、担任の教師、学年主任の教師、教頭、校長ら学校関係者。
少年たちの逮捕に踏み切った警察署長、少年課の刑事、刑事課の刑事ら警察関係者。
少年たちから事件についての聴取にあたる若き検事、その上司ら司法関係者。
事件の取材にあたる若き女性新聞記者、彼女にアドバイスする地方紙のベテラン記者ら報道関係者。

大勢の人間、それぞれの立場から見た「少年の死」が描かれる。
亡くなった少年の両親(特に母親)や身内から見た少年と、同級生から見た少年はまるで別人。
その違いは読者を戸惑わせるが、人間というのは一面からみて判断することはできない、多面性の存在である。
少年たちにいったい何があったのか?
果たして、亡くなった少年は事故死したのか?自殺したのか?それとも誰かに殺されたのか・・・?

「沈黙の町で」が終わりに近づきつつある日、S県O市で中学2年生の男子が昨年10月にいじめを苦に自殺していた、との報道が出た。
昨年10月に自殺した少年は同級生から殴る・蹴るなどの暴行や金品をたかられるなどのゆすりなど、様々な非行の被害に遭っていたという。

事件についての報道を読み、「沈黙の町で」との類似性に心底ゾッとする。
いや・・・、現実のO市のいじめは報道・ネットでの事件についての書き込み(その全てを事実と考えるのは非常に危険であるが)などを読むと、小説以上に恐ろしい行為が行われており、暗澹たる気持ちに襲われる。

中学校2年生は子供と大人の端境期で、精神的にも動揺しやすい不安定な年齢である。
身体は大人に近づきつつあるのに、精神はまだ子供のままでいる。
体力は大人、知力は子供。
それがあの年代の特長である。
理性のタガは大人より遥かに外れやすく、一度それが外れてしまうと攻撃性は残虐性も帯び、誰かがブレーキをかけない限り、日々エスカレートしていく一方だろう。
彼らはいじめ対象の痛みなどに思いを馳せることなど全くない。
というより、精神が幼すぎて相手の痛みを想像する能力そのものがまだ育っていないのだ。
結果として、ゲーム感覚で相手を追い詰め続け、それによって重大な結果を引き起こしてもその結果すら我が事として捉えることができないのである。
大人になって過去の自分と向き合った時、そこに己の幼稚な残虐さを認め真摯に反省するのか、あるいは俺は悪くないと居直るのか。
どちらの道を選び取るかは本人と周りの大人次第だろう・・・。
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「沈黙の町で」の亡くなった少年は、周囲の同級生から反感を買うような行動を起こしてしまったが、それに対し謝罪もせず居直り更なる反感を買い、同学年どころか下級生からもバカにされ、いじめられるような状況に陥っていた。

O市の被害少年と加害少年たちとの間に、一体何があったのだろう。
「沈黙の町で」の少年のように、周囲の反感を買うようなことをしたのか?
加害少年たちの一方的な妬み・嫉みによるものか?
それとも「あいつなんだか気に入らね~」という、まったく理由のない悪意からか?
果たして、O市の加害少年たちをこのような陰惨かつ陰湿ないじめに走らせたきっかけはなんだったのだろう・・・?
新聞報道などからは伺えない部分だが、ここにこの事件の重要な鍵があるはずである。

どんな問題も、一面から見て判断するのは非常に危険だろう。
物事を多面的に捉え、決して感情に走ることなく冷静に報道に接し、判断すること。 
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我々は報道に踊らされないよう、クリティカルシンキングを心がけよう。

そして・・・今、いじめにあっている子やその親御さんへ。
学校に期待するな。辛いなら我慢して通学するな。
環境を変えることは決して逃げることではなく、恥ずかしいことでもないのだから。

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「沈黙の町で」と大津のいじめ事件 ~いつもと違うのだめもどき~」への2件のフィードバック

  1. のだめもどき

    2. Re:無題
    >元ブックオフ店長ぴろぱぱさん

    先生方に怒られるかもしれませんけど、学校って極端な話いじめられててツライなら行かなくてもいいと思いますよ。そのほうが子供にはいいと思います!

  2. 元ブックオフ店長ぴろぱぱさん

    1. 無題
    ほんと辛いなら通学するな!に共感しますね

    少年少女は学校の顔と家の顔って違うのは当然

    自分に色んな人格を感じてもがき苦しむ時期だと思います。環境を変えることを親と話合えれば最悪の事態はさけられますもんね!

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