紘子さん 負けるな癌に 我祈る

              

ピアニストの中村紘子さんが、大腸がんを罹患中であることを公表し、
治療・療養から先日復帰して記者会見を開いたけれど、
また集中的に抗がん剤投与するとのことで、予定していた公演をキャンセル。
一部公演は、他のピアニストが代演することに。
紘子さん、負けるな癌に、と我祈る。

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物心が付いて間もない、ちびっこだった頃。
ある日、何気なく見ていたテレビの画面に、目が釘付けになった。

キレイなドレスに身を包んだキレイなお姉さんが、
画面の中でピアノを弾いていた。
近所の家にあるピアノとは違い、平べったくて大きなピアノ。
颯爽と演奏していたのは「げんそうそっきょうきょく」。

なんやろう、これ、めっちゃカッコイイ・・・。

元々、母方の義理の祖父(実の祖父の従兄弟)が舞台演劇関係者で、
音楽好き、舞踊好きなちびっこだった私。

キレイなお姉さんのピアノを演奏する姿に、すっかり魅了されてしまった。

うちもぴあのひきたい・・・。

そう思うようになるまで、そんなに時間はかからなかった。

その時、テレビの中でピアノを弾いていたのが、
ほかならぬ、中村紘子さん。

それは、私がピアノを始めることになる、きっかけでもあった。

まさか、ピアノを弾くために、あんな大変な・・・。

難行・苦行・修行の日々が待ち受けているとは、夢にも知らず。

サザンオールスターズの曲に「そんなヒロシにだまされて」という曲があるけれど、
私がピアノを始めたのは「そんなヒロコにだまされて」なのであ~る。

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当時住んでいた家の隣に、国営放送のディレクター一家が住んでいて、
自分の子供が男の子ばかりで、女の子をかまいたくて仕方のなかったその家の奥さんに、
ピアノの手ほどき・・・というか、音楽の手ほどきを受け始めたのはそれからしばらくのこと。
その奥さん、某音大のピアノ科出身者。

親にねだって「げんそうそっきょうきょく」の収録されたレコードを買ってもらい、
毎日聞いてた。

幻想即興曲、ってムズカシイ漢字書くんやなぁ、と思いつつ。

難行・苦行・修行の日々が始まったけれど、
やめたい、と思ったことは一度もない。
ピアノを弾くのが好きやから、難行・苦行・修行の日々をツラく感じないのか・・・。
専門家になるためのレッスンではないから、のほほ~~~ん、としていられたから、なのか・・・。
続けるのも、ヒトツの才能か?
好きだから長続きする・・・のは、ビジネスにも相通ずるな。

紘子さんには、2度お目にかかったことがある。

私よりも小柄で、手も小さかった。
おかげで、「私、手ェ小さいしぃ」という言い訳が、全く通用しなくなってしまった。

むむぅ・・・。

コツコツと、マジメに、練習するしかないんよね。
そう、自分に呟きつつ、今日もヘタの横好きのピアノを弾く。

ピアノを弾きつつ・・・心の中で念じる。

紘子さん、負けるな癌に、と。


難行・苦行・修行の日々が愛おしい・・・。