今、動物病院から帰宅したところだ。
昨夜、事務の人が間違えて注射2本分の会計を入れるのを忘れ、追加で支払いに行ってきたのだ。
娘猫治療、最後の支払い。
昨夜、動物病院での穿刺の際出血し、獣医さんに呼ばれた。
「危険な状態なのですぐ処置室へ」と。
何とかそこは乗り切ったけれど、再度酸素室に入れられようとしたとき、娘猫の目は「家に帰りたい」と私に訴えていた。
その後、獣医さんから穿刺で採取した分からは腫瘍・細菌反応が今のところ見られないという説明を受けつつ、一晩病院で預かるかどうするか、と聞かれたが、夜間病院が無人となるため、その間にひとり寂しく・・・というのは嫌だったので、連れ帰ることにした。
帰宅し、キャリーを開けると自分で飛び出し、それからトイレにも行った。
その後、お気に入りの座布団で寝転がって呼吸も落ち着いていた。
様子を見るため、私がこのまま横に布団ひいて今夜はここで寝るよ、と夫に告げ、歯磨きに行ったのは午前0時半過ぎ。
歯磨きから戻ると、娘猫が座布団の上にいない。
いつの間にか、夫が寝転がっていた和室をウロウロしていた。
私を見つけてほっとした様子を見せた。どうやら、すぐそばにいたのに姿が見えなくなったので、私を探していたらしい。
ただ、急に動き回ったため肺・心臓にイッキに負担をかけたようだ。
それから呼吸状態が急激に悪化し、夫が「紹介してもらった夜間救急、行こう」と言ったが、何度か臨終に立ち会ったことのある私は「あ、これはもうあかん・・・」と、夫にもそう告げ、苦しそうに呼吸する娘猫を撫でさする。
やがて、ひときわ大きな声を出したあと、娘猫は息を引き取った。
平成25年8月30日午前0時40分、享年12歳。
容態が急激に悪化してわずか2日での旅立ち。
事情があって飼えなくなったお宅から、母猫4歳・娘猫3歳を2匹まとめて譲り受けたのは、今から約10年前。
母猫は警戒してなかなか私たちに心を開かなかったけれど、娘猫は自宅に連れ帰ったときささっとキャリーから飛び出し、私にすぐになついた。
てっきり人懐こい仔なんだと思いきや・・・お客さんが来るとどこかに隠れてしまう、大変な人見知り猫だった。
夫や私の家族にも慣れなかった、娘猫。
いつも私にくっついて歩き、ピアノの練習時には椅子に飛び乗って前足で鍵盤を叩いていた、娘猫。
夜、夫と私が寝静まった後にひっそり息を引き取るのではなく、起きている時間に、狙ったように旅立った娘猫。
ひとり旅立つのは寂しかったんだろうね・・・。
夫は臨終からしばらく泣きっぱなしだったが、私は泣けなかった。
娘猫の身体をキレイに拭き、整えてやりつつ、後からず~んと来るだろうな・・・と思っていた。
その予想通り、母猫が娘猫を探してウロウロし始めた頃から、悲しさとやりきれなさに襲われている。
でも、できる限り普段通りに過ごそうと思う。
こんな時でも・・・お客様からの注文は入るし。
在りし日の娘猫。名は・・・あくび、と言いました。